灯台が好きで、灯台を訪ねて回っていると、
灯台が立っている場所は自然と分かってくるものだ。
私は陸の人間で海を知らないから、海から灯台を探したことはないが、
陸から眺めても、灯台がありそうな場所はおよその見当はつく。
それと、海岸線を走っていると、やたら灯台が目に入るようになる。
それらの灯台は防波堤の先端に立つ赤灯台、白灯台だ。
灯台、となれば駆け寄って行きたい私だが、申し訳ないがやり過ごす。
赤灯台や白灯台の港湾灯台にだって、
沿岸小型の灯台が顔負けするような立派な風格の灯台もあるが、
いかに灯台巡礼の旅とはいえ、いちいち表敬訪問しているわけにもいかない。
留萌灯台は、国道沿いの小高い斜面の上に立つ。
車で横付けできる訪問難易度ゼロの灯台で、
灯塔には白地に赤横帯が3本入って、17mのバランスが取れた灯台だ。
灯塔を撫でて敬礼をする、私流の一連の儀式を終えてから国道に戻ったら、
その一帯が小公園になっていた。 そこに1基の港湾燈台が立っている。
いつもの私ならやり過ごすところだが、そのときは何故か立ち寄った。
不思議な力が私を招き寄せたとしか思えない。
その灯台 (正確には 「灯柱」 という) は、灯台としての役割を終えており、
記念碑として小公園に据えられたものだった。
傍らに置かれた銅版の文字を読めば、
「‥‥1931年、留萌港の東突堤の航路標識として登場した
当時は緑色塗装で、市民からは 「青灯台」 の名で親しまれ
60年にわたって船舶の安全航行を見守り続けた
緑色塗装は、山口県仙崎港の防波堤灯柱とともに
全国に2ヶ所という、非常に珍しいものだった‥‥」
とある。
北海道の留萌で、碑文の中に 「山口県仙崎港」 の文字を見たとき、
表現するのに難しいが、なんともいえない感慨が走り抜けた。
私の郷里・長門市の仙崎の名を目にするとは!
私に国道を横切らせて、ここまで招き寄せるパワーって何なんだ。
これには伏線がある。
前の日、北海道の西端を走っているときケータイがなった。
高校の同期生からで、7月に行う同期会の打ち合わせだった。
彼女は実家がある仙崎から電話をかけていたのだが、
私が北海道に居る、と聞いて驚いていた。
そのときのやりとりで 「仙崎と北海道でもケータイはつながるのネ」
などと他愛も無い会話をしたばかりだったのだ。
私は、いっぱしの灯台ファンを名乗っているが、
恥ずかしながら、仙崎港の緑色塗装の灯柱の存在を知らない。
「北の潮彩」 の編集が一段落したら、仙崎港に行ってみよう。
現存していたら、留萌での話をしてやろう。
なお、留萌港の青灯台は、1989年、国際的な浮標灯の基準が統一された際、
白色タイル張りに変更されている。
留萌港 ・ 青灯台 (旧東突堤灯柱)